ヨーロッパの花祭り・インフィオラータ〜儚い命を愛おしむエフェメラルアートとは〜

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 フラワーカーペットの上を歩く花祭り・インフィオラータ

インフィオラータとは、ヨーロッパ各地で行われるお花のお祭りです。イエスキリストの復活際から60日後に行う「聖体祭」を記念し開催します。

 

教会までの道のりを、花びらを敷き詰めたフラワーカーペットを作り、その上を司教たちが歩きます。

 

San Fele (PZ), 2015, Infiorata per il Corpus Domini.

 

 

インフィオラータが出来るまで 

フラワーカーペットは、市民によって描かれます。制作工程は、まず原寸大に引き伸ばした線画を道路に貼り付けます。チョークで地面に下書きすることもあります。

Infiorata-di-Noto-31

 

 下絵に色付きの砂・カラーサンドを置き原画に合わせて色をつけます。

 

take part 08

 

 

 

色ごとに仕分けした花を、写真のように敷きつめていきます。

Infiorata Corpus Domini 2010

Infiorata 2012

 

 

完成!制作時間は約5時間。

Infiorata Pietra Ligure 2013

 

 フラワーカーペット制作後、数時間or数日中にはあっという間に壊されてしまう。

Processione Corpus Domini 2014

市民が時間を掛けて描いたフラワーカーペットを、司教たちのパレードで通った後、子どもたちによってあっという間に崩されてしまいます。写真を撮るヒマすらないそうです。なんてもったいない…

 

 瞬間の美しさを愛おしむエフェメラルアート

インフィオラータは、エフェメラルアート(儚い命)と呼ばれ、その瞬間の美しさを愛おしむため世界中から観光客が訪れます。

 

チベットの僧侶が1ヶ月掛けて描く「砂曼荼羅」との共通点

インフィオラータとに似てるなと思ったのが、僧侶が砂で描く「砂曼荼羅(まんだら)」です。

 

salle mandala

チベットの僧侶が1ヶ月も掛けて描いた砂曼荼羅を完成後すぐに崩してしまいます。

それは何故かというと「形あるものは絶えず変化し続け、永遠ではない」という諸行無常の教えから来るとか。

 

形あるものは壊れる…そしてその瞬間を楽しむ。お花の祭典「インフィオラータ」と、チベットの「砂曼荼羅」。国も言葉も違えど、辿り着く先は同じ…

 

美しさとは、脆く儚く、時に心に深く訴える。

なんだかとても奥深い。美しさの一瞬、一瞬を感じて生きたいものですね…